平成14(ハ)7101 過払金返還請求事件 全文
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| 事件番号 | 平成14(ハ)7101 |
| 事件名 | 過払金返還請求事件 |
| 裁判年月日 | 平成15年10月20日 |
| 全文 |
主文1被告は,原告に対し,82万6698円及びこれに対する平成14年5月1日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。2訴訟費用は被告の負担とする。3この判決主文第1項は,仮に執行することができる。事実及び理由第1請求の趣旨主文と同旨第2事案の概要1請求原因及び抗弁の各要旨本件は,貸金業者である被告との間で,別紙「貸金計算書」(以下単に別表という)記載のとおりの金銭の借入・返済を重ねた原告が,これを利息制限法所定の利率で計算し,その超過支払分を元本に充当すると過払金が生じているとして,不当利得を理由に民法703,704条に基づき当該過払金の一部である82万6698円及び最終支払日の翌日からの法定利息の請求をしたのに対し,被告が,貸金業法43条の適用を主張して争っている事案である。2前提となる事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,証拠(該当箇所に掲記)及び弁論の全趣旨によって認定することができ,この認定の妨げとなる証拠はない。(1)被告は,貸金業法3条所定の登録を受けた貸金業者である(乙2)。(2)原被告間の包括的基本取引平成7年2月10日,原告と被告は,次のような金銭消費貸借基本契約(以下「本件基本契約」という)を締結した(乙9)。取引極度額600万円利率年365日の日割計算とし,利率は個別の借用書に明記する。遅延損害金年39.8パーセント(3)本件基本契約に基づく個別的金銭消費貸借契約1平成7年2月10日,本件基本契約に基づき,被告は原告に対し,次のとおり業として名目350万円を貸し渡した(以下「第1貸付」という)。貸付金額350万円ただし,事務手数料として10万5300円,印紙代として2400円,公正証書作成費用として1万6000円の総計12万3700円が差し引かれ,原告には337万6300円が交付された(甲4,乙1の1)。返済金額平成7年3月から平成16年11月まで毎月1日限り7万2100円,同年12月1日には5万1048円を支払う(甲1)。利息年21.9パーセント(年365日の日割計算)遅延損害金年39.8パーセント(年365日の日割計算)返済方法債権者の店頭への持参払いなお,債権者が同意した場合は,送金又は訪問集金特約債務者が債務の支払いを遅滞したときは,当然に期限の利益を失い直ちに債務を完済しなければならない。2平成13年11月9日,本件基本契約に基づき,被告は原告に対し,次のとおり業として名目200万円を貸し渡した(以下「第2貸付」という)。貸付金額200万円ただし,印紙代として2200円,公正証書作成費用として1万1000円が差し引かれ,原告には198万6800円が交付された(乙1の85)。返済金額平成16年11月3日に200万円を一括完済平成13年12月から毎月3日限り利息を後払い(甲2,乙1の86ないし乙1の91)。利息年18パーセント(年365日の日割計算)遅延損害金年29.2パーセント(年365日の日割計算)返済方法債権者の店頭への持参払いなお,債権者が同意した場合は,送金又は訪問集金特約債務者が債務の支払いを遅滞したときは,当然に期限の利益を失い直ちに債務を完済しなければならない。(4)原告は,被告に対し,別表入金日欄記載の日にちに入金金額欄記載の金額を返済した。 3論点第1貸付時における事務手数料等の引き去りをどのように評価するか。第3当裁判所の判断1みなし利息の天引と貸金業法43条(1)被告は,第1貸付時に,事務手数料として10万5300円,印紙代として2400円,公正証書作成費用として1万6000円の計12万3700円を差し引いている。ところで,貸金業法43条2項3号は,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という)5条2項に違反する(利息)契約に基づく支払には貸金業法43条1項のみなし弁済規定を適用しないとしている。そして,出資法5条4項は,利息が天引された場合も,その利率が出資法5条2項の利率を超えるか否かを確認する旨規定し,同条6項は利息とみなされる金銭に対しても同様の検証をするよう要求している。そこで,本件第1貸付時の事務手数料等の引き去りによるみなし利息の利率が,当時の出資法5条2項の規定する年40.004パーセントを超えるものであるか否かにつき検討する。(2)出資法5条6項は,金銭の貸付けを行う者がその貸付けに関し受ける金銭は,礼金,割引料,手数料,調査料その他何らの名義をもってするを問わず,利息とみなすとし,みなし利息につき利息制限法3条但書のような例外を設けていない。そうすると,契約の締結及び債務の弁済の費用といえどもその例外としない趣旨であることは明らかであり(最高裁判所昭和57年12月21日決定・判例時報1065号191頁),第1貸付時のみなし利息は12万3700円ということになる。また出資法5条4項は,利息を天引する方法による金銭の貸付けにあっては,その交付額を元本額として利息を計算すると規定する。したがって元本額は337万6300円となる(3,500,000123,700=3,376,300)。では天引された12万3700円はどの期間に対応する利息となるのだろうか。甲3の1の融資計算書(償還表)によれば,第1貸付の各回の返済方式は,元利均等払いで,残元本の利用期間に対応する利息を後払いし,残元本を逐次逓減させるというものである。そうすると,第1貸付時に天引されたみなし利息は,第1貸付時の元本額の法定果実,すなわち第1貸付時から最初に弁済があった時までの元本の利用の対価ということになり,その期間は,平成7年2月11日(貸付日を算入しない合意が認められる乙1の2)から同年3月1日までの19日間となる。以上から,みなし利息の利率は,年70.38パーセントとなり(123,700÷19×365÷3,376,300≒0.70383),出資法5条2項に違反することは明らかである。したがって,貸金業法43条の要件につき逐一検討するまでもなく,同条2項3号により,第1貸付に同条を適用することは許されないこととなる。(3)第1貸付につき貸金業法43条は適用されないので,利息制限法により計算すると,原告の返済金額の充当関係は別表記載のとおりとなるが,個々の金額の算出根拠につき若干説明する。第1貸付は350万円全額につき成立する。第1貸付時のみなし利息は,利息制限法3条から10万5300円(印紙代及び公正証書作成費用を除く)となり,これを同法2条に従い計算すると,上記19日間の利息は2万6506円,残る7万8794円は貸付けと同時に元本の支払いに充てたものとみなされ,元本は342万1206円に減額される。(3,500,000105,300)×0.15×19÷365=26,506105,30026,506=78,7943,500,00078,794=3,421,206また,第1回の支払日である平成7年3月1日に支払われた7万2100円については,すでにこの間の利息は支払われており,かつ当事者間で低額の繰上償還は禁止されていない(甲1の連帯借用証書第4条)ことから,全額が元本に充当されたと解される(民法491条)。なお,平成8年及び同12年は閏年なので,当該暦年の利息は366日の日割計算とした。(4)被告は,第1貸付は7万2100円を毎月1日限り(平成9年1月は6日限り)支払うという約定であるところ,原告はこれを怠り平成9年1月7日に弁済したので期限の利益を失ったと主張する。そこで,この点につき判断する。確かに,原告は,平成9年1月6日に支払うべき支払を怠っており(乙1の24),特約によれば期限の利益を喪失したことになる。しかしながら,平成9年1 月7日付けの領収書であるご利用明細書(乙1の24)には,次回支払日として平成9年2月3日との指定があり,かつ支払予定額の内訳として,遅延損害金ではなく,利息と記載されている。また,これ以降の返済の際にもその都度同様の記載のある領収書が交付されていることが認められる。これらの事実からすれば,被告は,いったん期限の利益を失った原告に対し,支払の都度期限の利益を付与していたものと解するのが相当である。したがって,この点についての被告の主張も理由がない。2第2貸付について同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において,借主がそのうちの一つの借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払い,この制限超過部分を残元本に充当してもなお過払金が存する場合,この過払金は,当事者間に充当に関する特約が存在するなどの特段の事情のない限り,民法489条及び491条の規定に従って,弁済当時存在する他の借入金債務の利息及び元本に充当され(最高裁判所平成15年9月11日第一小法廷判決・裁判所時報1347号6頁)る。これを本件についてみると,平成13年11月9日の第2貸付時には,原告は71万5483円が過払いとなっており,かつ,同日,被告から200万円を受け取り,192万8997円を返済していることが認められる。してみると,原告が被告から実質7万1003円を受領したとしても,全額が過払金に充当されることになり,原告が過払い状態にあることに変わりはないこととなる。3被告の悪意について原告は,民法704条に基づく一部請求として,原告が最終弁済した翌日である平成14年5月1日からの法定利息を請求しているものと理解される。そこで,被告の悪意につき以下判断する。民法704条の悪意とは,利得につき法律上の原因のないことを知っていたか重大な過失により知らなかったことである。本件のような事例においては,貸金業法43条の適用がないことを知りながら,あるいは知らないことにつき重大な過失がありながら,利息制限法所定利率を超える利息の弁済を受けていた場合がこれに当たると解すべきである。被告は長年にわたり貸金業を営み,かつ,貸金業法43条により利息を受領していた法人であることからすれば,貸金業の関連法規を熟知していたはずであり,高額なみなし利息を天引することによる法的効果を知っていたか,あるいは知らないことにつき重大な過失があったものと推認され,民法704条の悪意の受益者と認めるのが相当である。4結論別表記載の個々の貸付及び返済の日付け,金額については当事者間に争いがなく,被告の貸業法43条に基づく主張については理由がない。当事者間の個々の貸付及び返済を利息制限法所定の利率によって計算すると別表記載のとおりとなり,原告の請求を優に認めることができるので,主文のとおり判決する。名古屋簡易裁判所 裁判官下村資樹 貸金計算書 回数 貸付日入金日 平成7年2月10日123456789平成7年3月1日平成7年4月3日平成7年5月1日平成7年6月1日平成7年6月30日平成7年8月1日平成7年9月1日平成7年10月2日平成7年11月1日平成7年12月1日平成7年12月29日平成8年2月1日平成8年3月1日平成8年4月1日平成8年4月30日平成8年5月31日平成8年7月1日平成8年8月1日平成8年9月2日平成8年10月1日平成8年11月1日平成8年12月2日平成9年1月7日平成9年2月3日平成9年3月3日平成9年4月1日平成9年5月1日平成9年6月2日平成9年7月1日 貸付金額 3,500,000 入金金額 105,30072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,100 期間 H7.2.11H7.3.1 日数 19 利息損害金 26,506 年率 15.00% 元金充当額78,79472,100 貸付残高 3,421,2063,349,1063,322,4253,288,5553,258,3503,225,0823,195,3943,164,0023,132,2103,098,7263,064,8293,027,9952,998,0952,961,6282,927,1552,889,8442,854,4592,818,6242,782,3342,746,7232,707,2682,669,5632,631,3792,598,1232,554,8512,512,1492,469,9882,428,3392,388,1732,344,534 H7.3.2H7.4.4H7.5.2H7.6.2H7.7.1H7.8.2H7.9.2 H7.4.3H7.5.1H7.6.1H7.6.30H7.8.1H7.9.1H7.10.2H7.11.1H7.12.1H8.2.1H8.3.1H8.4.1H8.4.30H8.5.31H8.7.1H8.8.1H8.9.2H8.10.1H8.11.1H8.12.2H9.1.7H9.2.3H9.3.3H9.4.1H9.5.1H9.6.2H9.7.1 33283129323131303028342931293131313229313136272829303229 45,41938,23041,89538,83242,41240,70840,30838,61638,20335,26642,20035,63337,62734,78936,71536,26535,81036,48932,64534,39533,91638,84428,82829,39829,93930,45131,93428,461 15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00% 26,68133,87030,20533,26829,68831,39231,79233,48433,89736,83429,90036,46734,47337,31135,38535,83536,29035,61139,45537,70538,18433,25643,27242,70242,16141,64940,16643,639 H7.10.3H7.11.2 1011121314151617181920212223242526272829 H7.12.2H7.12.29H8.2.2H8.3.2H8.4.2H8.5.1H8.6.1H8.7.2H8.8.2H8.9.3 72,100H7.12.30 H8.10.2H8.11.2H8.12.3H9.1.8H9.2.4H9.3.4H9.4.2H9.5.2H9.6.3 回数 貸付日入金日 平成10年12月1日平成11年1月6日平成11年2月1日平成11年3月1日平成11年4月1日平成11年5月6日平成11年6月1日平成11年7月1日平成11年8月2日平成11年9月1日平成11年10月1日平成11年11月1日平成11年12月1日平成12年1月5日平成12年2月1日平成12年3月1日平成12年4月3日平成12年5月1日平成12年6月1日平成12年7月3日平成12年8月1日平成12年9月1日平成12年10月2日平成12年11月1日平成12年11月30日平成13年1月5日平成13年1月31日平成13年2月28日平成13年3月30日 貸付金額 入金金額 期間 日数 利息損害金 22,80515,94316,52417,58619,07113,60114,97215,21913,56612,84512,51811,37912,3988,8818,7879,1437,0356,9636,3334,9584,4463,5872,6291,7151,0923100 年率 15.00% 元金充当額 貸付残高 1,541,488 47484950515253545556575859606162636465666768697071727374 72,100H10.12.272,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,100H11.1.7H11.2.2H11.3.2H11.4.2H11.5.7H11.6.2H11.7.2H11.8.3H11.9.2 H11.1.6H11.2.1H11.3.1H11.4.1H11.5.6H11.6.1H11.7.1H11.8.2H11.9.1H11.10.1H11.11.1H11.12.1H12.1.5H12.2.1H12.3.1H12.4.3H12.5.1H12.6.1H12.7.3H12.8.1H12.9.1H12.10.2H12.11.1 36262831352630323030313035272933283132293131302936262830 15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%15.00%0.00%0.00% 49,29556,15755,57654,51453,02958,49957,12856,88158,53459,25559,58260,72159,70263,21963,31362,95765,06565,13765,76767,14267,65468,51369,47170,38571,00872,06972,10072,100 1,492,1931,436,0361,380,4601,325,9461,272,9171,214,4181,157,2901,100,4091,041,875982,620923,038862,317802,615739,396676,083613,126548,061482,924417,157350,015282,361213,848144,37773,9922,984‐69,085‐141,185‐213,285 72,100H11.10.272,100H11.11.272,100H11.12.272,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,10072,100H12.1.6H12.2.2H12.3.2H12.4.4H12.5.2H12.6.2H12.7.4H12.8.2H12.9.2 72,100H12.10.3 72,100H12.11.2H12.11.3072,100H12.12.172,10072,10072,100H13.1.6H13.2.1H13.3.1H13.1.5H13.1.31H13.2.28H13.3.30 |
